一度始めるとやみつきになるダイビング。
「楽しい」「綺麗」「海が気持ちいい」など良いイメージを思い付く方が多いと思いますが、実は死に至る事故が起きる可能性もある危険なスポーツでもあります。
その多くが「パニック」「病気」「基本の安全管理の怠り」です。
ダイビングに限らず全てに共通することですが、インストラクターの話を聞き、指示を守り、講習で習う基本の「キ」を怠らず、無理のない範囲で気を引き締めて行動すれば事故は未然に防げます。
安全第一で楽しむ為にも、ダイビング前にもう一度確認して欲しい9点をまとめました。
ブリーフィングは集中
ダイビングをする前のブリーフィングは一番大事です。
「早く海に潜りたいなぁ〜」と意外とないがしろにされますが水中で起こるトラブルは陸上で未然に防げる、解決できると良く言われます。
インストラクターの話をしっかり聞き、頭に入れ、わからない点があったら遠慮なく質問して、全てが明確になった状態でダイビングしましょう。ブリーフィングでの確認事項は以下6点です。
- 体調確認
- ダイビングポイントの紹介
- 生物情報
- EN・EX方法&注意点
- ダイブプラン(最大水深・潜水時間・ルート)
- サインの確認(特殊なサインがあったら)
- 緊急時の対応(迷子になった・体調不良)
安全管理は自己責任
基本の安全管理はダイバー本人の自己責任です。
Cカードを取得した時点であなたは自分の身は自分で守りながら安全にダイビングをする義務があるのです。
ダイビングショップは海のコンディションの判断、水中ガイド(迷わないように)、ゲストのアシストetc. ツアーを安全に遂行する為に必要な管理を行ってくれます。ゲストの技術・知識の補足やサポートもしてくれます。しかし、残念ながらインストラクターに100%頼り切るのは不可能です。ショップHP、申込書、誓約書etc.にも記載されていると思いますが、個々全てに対する安全管理の責任はショップ側にはないのです。※体験ダイビングは別です
“知識”と“技術”の修得
「知識」と「技術」を常に一定レベルに保つ努力は欠かせません。
基本の知識や技術が備わっていれば、ダイビング中に万が一のトラブルが発生しても落ち着いて対処できます。
実際に私が体験した話を紹介します。
ある日、私は女性ダイバー(Aさん)のガイド担当でした。Aさんはブリーフィング中に「耳抜きが苦手でいつも苦労している」と報告してくれたので、“耳抜き方法”と“抜けなかった時の対処法”の確認をいつもより丁寧に行いました。実際にAさんは水深5~6mで耳抜きで苦労している様子でしたが、トリム(中性浮力)を取りながら、ブリーフィングで確認した方法で落着いて対応してくれました。無事に耳抜きもでき、その後は何事も問題なく楽む事が出来ました。 |
この時のGOODポイントは3つあります。
- 【知識面】事前に苦手分野の共有が出来ていた
事前共有を怠ると、水中でインストラクターに気付いてもらえない可能性があります。言葉が通じない水中だからこそ、苦手分野の事前共有はとても大事です。 - 【知識面】耳抜きの方法と対処法の確認が出来ていた
ブリーフィングでは、忘れていた事を思い出したり、技術や知識の再確認が出来ます。仕事で潜るインストラクターの知識は豊富なので、あなたの苦手分野が一発で解決するような革命的なアドバイスを得る事があるかもしれません。悩み事があったらどんどんプロに相談してみましょう。 - 【技術面】トリム(中性浮力)が安定していた
耳抜き失敗原因のひとつに「急潜行」が挙げられます。自分の浮力の確保ができず、スピード早く深場に潜行して行く事です。Aさんは浮力確保の技術が備わっていたので水深5~6m付近で安定して耳抜きに対応する事が出来ました。着底する場所がない海での耳抜きには特にトリムが必須になるので、Cカード取得後は意識して練習をした方がGOODです。
不安要素はすべて陸で解決
不安要素、疑問点は陸上で解決してからダイビングをしましょう。
理由は単純。水中で会話はできません。万が一ダイビング中に困った事があったら、インストラクターの手を借りたくなるのは万人に共通する事です。しかし、水中ではあなたが何に困っているのか把握してもらうまでに、陸よりも時間がかかってしまいます。
不安要素は可能な限り事前に予測し、ダイビング前にクリアにできるとGOODです。勿論、緊急案件や全く予想も付かなかった事が起きた場合は水中で頑張ってインストラクターに伝えるしかありません。
無理厳禁
無理は絶対に禁物です。
怪我をした、吐き気がする、頭痛がする、熱があるetc.の身体的不調がある時は勿論ですが、ストレスを抱えている、気分が乗らない、漠然と不安に感じて落ち着かないetc.精神的な不安を抱えている時も無理をしてダイビングはしちゃNGです。水中での判断が鈍くなるので危ないです。
遠慮せずに恥ずかしがらず、その日はダイビングをしないという判断を取ってください。自分の体調に向き合い、適切な判断ができるあなたは立派なダイバーです。
周囲の目を気にし過ぎない
周囲の目を気にし過ぎて無理をしたり我慢したりしてはNGです。
海に潜らない選択を取るのは決して恥ずかしい事ではありません。体調が悪い時は素直に伝えましょう。水中で体調が悪くなった時も同じです。一緒に潜っている他のダイバーを気にして我慢するなんて事は絶対にしないでください。言葉を選ばずにいうと、我慢された後の結果の方がむしろ迷惑になります。
しっかり自分の体調と向き合い最善の判断を取る事が一人前のダイバーとしての義務です。
スキル範囲内のダイビング計画
自分のスキルを超えたダイビング計画はNGです。
「大丈夫だろ〜」という甘え考えが事故に繋がります。
例えば…
オープン・ウォーター・ダイバーで最大水深18mまでしか行けないのに、水深30mまでの潜水計画を立てる |
ダイビング経験本数が10本の初心者なのに、ダイビング本数200本以上のベテランダイバーばかりのツアーに参加する |
など無理なダイビング計画は絶対に禁物です。徐々にダイビング経験を積んでからでも楽しめる世界です。海は逃げません。焦らずじっくり楽しみながらスキルを付けていきましょう。
バディチェック「BWRAF」
ダイビング機材を装着したら、エントリー前に必ずバディチェックを行いましょう。
「タンクバルブ空けるの忘れた」 |
など海にエントリーしてから忘れ物を取りに行くのは体力消耗します。水中で正しく装着するのは危険ですし、大変です。水中で快適に過ごす為に、陸での確認は怠らないようにしましょう。
- 【B】BCD
BCDは正しく装着できているか。中圧ホースは接続されているか。タンクは固定されているか(バディのBCDを振ってあげる)。緊急排気ボタンはどの位置にあるか。ストラップ類はねじれていないか。 - 【W】ウェイト
適正ウェイトか。両サイドのウェイトの位置はバランスがいいか。1回でクイックリリースできる状態か。 - 【R】リリース類
リリース類(レギュ、オクト、ゲージ、中圧ホース)は絡まっていないか。レギュは右側にあるか、あるべきリリース類が揃っているか。ぶらぶらせず固定されているか。 - 【A】空気
空気はしっかり出るか。タンクバルブはちゃんと空いているか。タンクに十分な空気が入っているか残圧計を見ながら確認。 - 【F】ファイナルチェック
グローブ、フィン、マスク、その他小物の忘れ物はないか。全体的におかしい点はないか。バディが眼鏡をかけていたらこの時に外させる。
定期的な機材メンテナンス
ダイビング機材は定期的にメンテナンスを行い、ダイビング前は良好な状態である事を確認してから使用しましょう。
ダイビング中は専用機材に私達の命を預けていると言っても過言ではありません。機材に不具合があるままダイビングはしないでください。
「定期的なメンテナンスを怠り、ダイビング中に空気が吸えなくなった…。」なんて理由で、危険な事故が起こるのは嫌です。専門業者に依頼し、1〜2年に一度はメンテナンスをしてもらいましょう。命を預ける機材なので、独自でのメンテナンスは絶対にお勧めしません。
以上9点は、個人的な体験ベースにまとめています。これが全てではありません。ぜひ一緒に潜るインストラクターのアドバイスも良く聞いて安全第一でダイビングを楽しんでくださいね♪
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